第50回 全日本聾教育研究大会(附属大会)

1.     大会名称 第50回全日本聾教育研究大会(附属大会)

2.         大会主題 「聴覚障害教育の専門性のさらなる追求と共有」

《主題設定の理由》

全日本聾教育研究大会は,明治40年に開催された「第1回日本盲?学校教員会」をその起源とし,その後,組織や名 称を変えながら今日まで引き継がれてきた聴覚障害教育に関わる全国規模の研究大会である。昭和41年10月に高知で全日本聾教育研究会の結成大会が開催されてから今日のような組織や運営形態が整い,翌昭和42年には授業研究会と研究分科会を柱とした第1回の全国大会が名古屋で開催された。関東地区で11回目の開催となる今回の附属大会は第50回の節目の大会でもある。

平成18年10月に第40回大会を「APCD:アジア太平洋地域聴覚障害者問題会議」と共催する形をとって関東地区で開催した。この大会はそれまでの日本の聴覚障害教育の総括を行い「専門性」の継承を確認するうえで意義深いものとなったが,その後,聴覚障害教育を取り巻く環境は大きく変化した。平成19年,学校教育法の改正により特別支援教育体制への移行が図られたが,今日の「特別支援学校(聴覚障害)・聾学校」(以下,聾学校)には,幼児児童生徒の多様な教育的ニーズに応える姿勢とその実態に応じた確かな教育実践,そして,センター的機能を充実させながら地域の学校を支援していくことが求められるようになった。また,新生児聴覚スクリーニング検査の普及,補聴器の性能の向上,人工内耳装用児の増加等,医学・工学の進歩がきこえに対する意識をさらに高めたが,一方では手話が聴覚障害者にとっての言語であることの認識も定着し,全国の聾学校がそれぞれの教育理念のもとで「確かな学力」と「生きる力」の育成に向けて研鑽を重ねた。ICTの活用,グローバルな人材の育成,社会自立とQOLの向上,キャリア教育等も新たな課題となっている。

この間の聴覚障害教育が辿った道のりは決して平坦なものではなかった。しかし,そうした変化の中でも,聴覚障害教育の現場は時代に合った教育方法を取り入れながら広く教育界に貢献していくための新しい視点を養い,なおかつ,その土台となる「専門性」を変わらない本質として大切に考えてきた。「コミュニケーションの基盤である言語に関する能力の育成」や,新学習指導要領における「言語活動の充実」は,聾学校が継承し続けてきた「専門性」の中核をなす部分にあたる。聴覚障害教育はことばを基軸とする教育方法や知見を教育的資産として多く有しているが,今後もそのさらなる「追究」を推し進めていかなくてはならない。今日,聴覚障害教育が有する「専門性」は聾学校以外の教育 現場にも広く浸透させていくことが期待され,実践から得た指導法や教材等の知見を発信していく機会も増えている。それらの「専門性」は常に日々の教育実践の中で磨き続けられ実効性が保たれたものでなくてはならず,その源は依然として聴覚障害教育の現場に求め続けられるものと考えている。教育の多様化が進む中にあっても聾学校は一貫した教育の可能性と成果を絶えず発信し続け,その存在を益々確固たるものとしていく必要がある。

本大会では,聴覚障害教育が築き上げてきた「専門性」について授業研究等を通して再度の確認を行い,そのうえで, 社会や時代の変化に伴って見えてきた新たな役割や課題についても共に考え,学びを深めたい。そして,各聾学校の特 色を互いに理解した上で「共有」し,今後の教育実践につなげていきたい。本大会の主題「聴覚障害教育の専門性のさらなる追究と共有」には,こうした願いがこめられている。


3.会  期 平成28年(2016年)1013日(木)・14日(金) 2日間

4.会  場 

公開・指定授業

筑波大学附属聴覚特別支援学校(〒2728560 千葉県市川市国府台221

授業研究会

筑波大学附属聴覚特別支援学校(〒2728560 千葉県市川市国府台221

和洋女子大学(〒2728533 千葉県市川市国府台231

研究協議・分科会

筑波大学附属聴覚特別支援学校(〒2728560 千葉県市川市国府台221

 

5.主  催

全日本聾教育研究会 関東地区聾教育研究会

6.主管校

筑波大学附属聴覚特別支援学校

7.協力校

(関東地区加盟校 24校)

千葉県立千葉聾学校

茨城県立水戸聾学校

茨城県立霞ケ浦聾学校

埼玉県立特別支援学校大宮ろう学園

埼玉県立特別支援学校坂戸ろう学園

千葉県立安房特別支援学校館山聾分校                     

東京都立大塚ろう学校                           

東京都立葛飾ろう学校

東京都立立川ろう学校

東京都立中央ろう学校

学校法人日本聾話学校

学校法人明晴学園

川崎市立聾学校

横浜市立ろう特別支援学校

横須賀市立ろう学校

神奈川県立平塚ろう学校

栃木県立聾学校

群馬県立聾学校

長野県長野ろう学校

長野県松本ろう学校

山梨県立ろう学校

静岡県立静岡聴覚特別支援学校

静岡県立沼津聴覚特別支援学校

静岡県立浜松聴覚特別支援学校

8.後  援

文部科学省

千葉県教育委員会

市川市教育委員会

全国聾学校長会

全国聾学校教頭会

全国特別支援学校校長会

関東地区聾学校長会

関東地区聾学校教頭会

千葉県特別支援学校長会

全国ろう学校PTA連合会

社会福祉法人全国心身障害児福祉財団

小川再治研究協賛会

公益財団法人聴覚障害者教育福祉協会

全国公立学校難聴・言語障害教育研究協議会

和洋女子大学

千葉商科大学

 

9.大会内容

※幼稚部と小学部の授業研究会は和洋女子大学西棟で行う 

月 日

時 間

内 容

会 場

備 考

大会前日

1012

(水)

1330
1500

1510
1600

全日本聾教育研究会全理事会

大会運営委員会

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

1日目

1013

(木)

920

受付

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

1000
10
40

公開授業(幼稚部)

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

 

 

 

1000
1045

公開授業(小学部)

1000
10
50

 

公開授業

(中学部・高等部普通科・専攻科)

11:00
1140

指定授業(幼稚部)

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

 

 

 

 

11:00
1145

指定授業(小学部)

11:00
11
50

 

 

指定授業

(中学部・高等部普通科・専攻科・

寄宿舎公開)

1150
13
00

昼食

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

1300
1440
100分)

 

 

授業研究会(幼稚部・小学部)

授業研究会

(中学部・高等部普通科・高等部専攻科・寄宿舎)

和洋女子大学西棟教室

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

 

 

1510
15
40
30分)

開会式

 

和洋女子大学講堂

 

 

1550
17
00
70分)

基調講演T

筑波大学名誉教授 齋藤佐和先生

和洋女子大学講堂

 

 

1730
1800
30分)

研究協議分科会 打ち合わせ会

(助言者・司会者・記録者・会場係)

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

 

1830
2030

50回大会記念式典

千葉商科大学

 

2日目

1014

(金)

830

受付

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

9001200

研究協議分科会(午前の部)

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

1200
13
00

昼食

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

1300
15
00

研究協議分科会(午後の部)

筑波大学附属聴覚特別支援学校

 

1530
16
40
70分)

基調講演U

筑波大学名誉教授 四日市章先生

和洋女子大学講堂

 

 

1640
17
10
30分)

 

10.基調講演  

基調講演T

【講師】 齋藤 佐和 氏(筑波大学名誉教授)

【演題】 「聾教育50年の変化と培われた専門性 〜言語指導法を中心に〜」

基調講演U

【講師】 四日市 章 氏(筑波大学名誉教授)

【演題】 「聴覚障害教育の専門性と今後への期待」

 

11.研究協議分科会

分科会名

研究主題(分科会のテーマ)

助言者

分科会の概要

 

早期教育T

(乳幼児)

 

茨城県立水戸聾学校

聴覚に障害のある乳幼児の心身の発達と保護者との信頼関係の形成についての研究

 

信州大学

 

教授 庄司 和史 氏

新生児聴覚スクリーニング検査の普及等により,早期教育がより重要になっていることから,乳幼児と保護者の支援に必要な評価の観点と,支援の内容及び方法について考える。

 

早期教育U

(幼稚部)


横浜市立ろう特別支援学校

信頼関係にもとづいた幼児のコミュニケーションや言語発達についての研究

 

筑波大学

 

教授 松本 末男 氏

幼児のコミュニケーションや言語発達を促すために必要な知見や指導法について,子供にとって必要な様々な視点から考える。 

 

学力と教科教育T

(文系・小学部)

 

東京都立大塚ろう学校

「確かな学力」を身につけさせるための文系教科指導についての研究

 

上越教育大学

 

教授 我妻 敏博 氏

国語科,社会科,外国語等における基礎的・基本 的な学力を培うための指導方法や授業改善について考える。

学力と教科教育T

(文系・中学部・高等部)

 

静岡県立

沼津聴覚特別支援学校

「確かな学力」を身につけさせるための文系教科指導についての研究

 

筑波技術大学

 

教授 長南 浩人 氏

国語科,社会科,外国語等における基礎的・基本 的な学力を培うための指導方法や授業改善について考える。

学力と教科教育U

(理系)

 

東京都立中央ろう学校

「確かな学力」を身につけさせるための理系教科指導についての研究

 

福島大学

 

教授 森本 明 氏

科学的・論理的な見方や考え方などを培う数学や 理科を中心とした実践や指導法について考える。

学力と教科教育V

(実技系)


埼玉県立特別支援学校

坂戸ろう学園

「確かな学力」を身につけさせるための実技系教科指導についての研究

 

国立特別支援教育総合研究所

上席総括研究員

藤本 裕人 氏

「生きる力」や社会的自立の基盤となる実技系教 科を中心とした実践や指導法について考える。

 

寄宿舎教育

 

神奈川県立平塚ろう学校

集団生活を通して,一人一人の生きる力を育むための指導・支援についての研究

 

大阪教育大学

 

教授 井坂 行男 氏

毎日の生活の様々な場面に適応する力を身につけ,自立心を育む場である寄宿舎の役割について考える。

自立活動T

(コミュニケーション,障害認識)

 

埼玉県立特別支援学校

大宮ろう学園

コミュニケーションと障害認識の支援や指導の在り方についての研究

 

金沢大学

 

教授 武居 渡 氏

一人一人が社会参加や社会的自立をしていく上で の基盤となるコミュニケーションと障害認識の支援や指導の在り方について考える。

自立活動U

(聴覚活用・補聴機器,「発音・発語」学習)

 

日本聾話学校

聴覚の活用や「発音・発語」学習による幼児児童生徒の心身の発達や日本語の習得についての研究

愛媛大学

教授 立入 哉 氏

 

筑波大学附属聴覚特別支援学校

前主幹教諭 板橋 安人 氏

医療・補聴技術の進歩や幼児児童生徒の実態の多 様性に対応した聴覚学習,「発音・発語」学習等 の在り方について考える。

 

言語発達,言語学習

 

川崎市立聾学校

幼児児童生徒の言語発達と言語学習についての研究

 

東京学芸大学

 

教授 澤 隆史 氏

言語発達と言語学習についての研究を通して,一 人一人の生きる力を育む言語活動の在り方を考える。

 

健康教育,心の教育

 

栃木県立聾学校

幼児児童生徒の心身の健康の保持増進と豊かな心 を育むための教育についての研究

 

筑波技術大学

 

教授 佐藤 正幸 氏

様々な社会環境において,幼児児童生徒が自ら心 身ともに健康で心豊かに生活できる力を育てるための教育について考える。

関係諸機関との連携,

   センター的機能

静岡県立静岡聴覚
   特別支援学校

山梨県立ろう学校

関係諸機関との連携による聴覚障害教育の充実と 地域の学校等への支援についての研究

 

国立特別支援教育総合研究所

 

上席総括研究員 原田 公人 氏

地域で学ぶ聴覚障害児がより充実した支援や教育を受けるために必要な関係諸機関との連携やセンター的機能について考える。

 

キャリア教育,卒業後の支援

 

東京都立葛飾ろう学校

早期の教育から卒業後の支援までを見据えたキャリア教育についての研究

 

筑波技術大学

 

教授 石原 保志 氏

キャリア教育の推進がますます重要になっているなかで,聾学校におけるキャリア教育の在り方について考える。



 重複障害教育,  
 特別な配慮を要する教育

 

東京都立立川ろう学校

一人一人の幼児児童生徒の障害の状態やニーズに 応じた支援や指導についての研究

 

東京成徳大学

 

教授 中山 哲志 氏

幼児児童生徒の障害が重度重複化・多様化しているなかで,一人一人の障害の状態等に応じた教育 と保護者支援について考える。

 

国際教育・国際交流

 

群馬県立聾学校

国際教育や国際交流による幅広いものの見方や考え方の育成についての研究

 

筑波技術大学

 

元学長 大沼 直紀 氏

グローバル化が進展している社会において,主体的に参加し,活躍できる人材の育成について考える。

 

12.開会式次第

(1)

    拶  全日本聾教育研究会会長 附属大会実行委員長(筑波大学附属聴覚特別支援学校学校長)

(2)来賓挨拶  文部科学省 千葉県教育委員会

(3)来賓紹介  関東地区聾教育研究会会長

(4)諸 連 絡  大会事務局

 

13.閉会式次第

(1)    拶  全日本聾教育研究会会長

附属大会実行委員長(筑波大学附属聴覚特別支援学校学校長)

秋田大会実行委員長(秋田県立聾学校校長)

 

14. 大会参加費    会員 2000     会員外 3500

学生 2000円(ただし,参観という形での参加)

 

15. 研究集録費     1部 2000

 

16. 大会参加・研究集録の申し込み  

申し込み内容

締切日

送付先

@    大会参加申込

(研究集録などを含む)

研究発表申込

平成28

630日(木)

筑波大学附属聴覚特別支援学校内 第50回全日聾研(附属大会) 事務局

A    研究発表原稿提出締切

平成28

819日(金)

B    昼食の申込

平成28

630日(木)

 

17.その他

(1)参加・販売・展示等の申し込みについては,平成284月発送予定の

「大会通信第2号」で詳細をお知らせします。

 

 

18.大会事務局及び連絡先

    50回全日本聾教育研究大会(附属大会)事務局
    
    272-8560 千葉県市川市国府台2-2-1
                (筑波大学附属聴覚特別支援学校内)

    TEL 047-371-4314 FAX 047-373-6316

    E-mail hashimoto.tokihir.ka@un.tsukuba.ac.jp(事務局専用)
 
         大会実行委員長  学 校 長   原島 恒夫

          大会事務局長   主幹教諭   橋本 時浩